〈”触れる”だけでもこんなに違うのです〉

 

 

実際に、シモザワ整体独自の体のメカニズム解析術やノウハウを除外して、タッチ技術のみで見たとしても、施術効果は驚くほど違ってきます。先生から指導を受けていたり、先生の本を読んでいる人と、そうではない人とでは、“触れる”という効果に差が出てきますが、たとえ先生から指導を受けている人でも、先生との差は計り知れない程です。

 

これは、気功教室でプロの手技療法家に、下澤先生が技術指導をしていた時のお話です。

技としてはただ「腕を上部から下部へ順番に握る」という事なのですが、こんな誰にでも簡単に出来そうな技でも、タッチ技術の差は大きく現れます。

 腕に対しての施術ですから、少なくとも腕が楽に感じるとか軽く感じる、もしくは腕に直接関係のある首や背中や胸などに、楽に感じるような変化がなければ、施術の意味がありません。

 

 しかしそのプロの方が、練習台になってくれている人の腕を握れば握るほど、練習台の人の腕は重くなっていくのです。回数を重ねれば重ねるほど腕は重くなっていき、最後には腕に問題を感じていなかった練習台の方人の腕は、重くて真上まで上がらなくなってしまったのです。

 プロですから、毎日クライアントの体を触る仕事をしているのに、本人は「これをすれば効果がある」と思い込んでいるだけで、事実は逆効果な結果を出していたのです。

練習台になった人は、楽になると思って引き受けてくれていたし、握り方が痛かったりした訳でもないのに、まさかの結果と問題を感じていなかった自分の腕に問題が出た事で、とても不安な表情を浮かべていました。

 しかし、その真上に上がらなくなった腕を、先生が一回だけ上部から下部に向かって軽く握っただけで、練習台になる前より軽々と腕が上がったのです。

これには指導を受けていたプロの人や、周りで見ていた人も驚きましたが、一番驚いていたのは練習台の人でした。まるでテレビの“やらせ”のような嘘みたいな事を、自分が本気でやっているのですから。

 どの位違うのか、練習台の人に聞いてみても「ぜんっぜん違う!!!」と、顔と身振りでとても大きな差である事は表現してくれましたが、何処がどう違うのか、何がおきてそうなったのかまでは、全く分からなかったようでした。

 

 もう一つ。

 この方はプロではないのですが、先生から一対一で施術の指導を受けている人のお話です。

 「タッチの極み」にも書かれていますが、タッチ技術の基礎ともいえる“垂直方向の押し方”や“エネルギーの移動”や“一定のスピード”の練習をしている時の事です。

 

 この時の練習台になってくれていた人は、人の体に施術を行うプロの人と、そうではない人の2名でした。

 背中から足にかけて順番に押す事を、体に対し垂直方向に押し、エネルギーを足の方向に移動させるように、一定のリズムで行うという練習なのですが、一つの項目に注意していると、他がおろそかになり、なかなかこの3つの項目を同時に注意しながら押すことができないでいました。

 

 そこで先生が練習台の2名に、練習している生徒の体を押すように指示したのです。

 勿論、プロの人とそうではない人に技術の差はありますから、2名の“押し”を体験したこの生徒にも、ハッキリと分かる体の変化の違いが現れました。

 あまりの違いに驚いているその時、先生が「では、先生が触ったらどうなるでしょう。」

と、うつ伏せ姿勢のその生徒の背中に触れた瞬間、その生徒の体は本人の意思とは別にモゾモゾと動き出し、動きが収まる頃には、体に問題は殆ど見受けられない真っ直ぐなうつ伏せ姿勢になっていたのです。

 「ほら、立って歩いてごらん」。歩いてみるとさらにビックリ。「楽だ!体が軽い!」と、普通に歩いているつもりが、あまりの軽さに飛び跳ねぎみに歩いてしまっているのです。

 

 シモザワ整体における“タッチ技術”とは、ただの“押す”や“触る”の延長ではありません。このように一般的には信じがたいほどの効果の差がある技術なのです。

 「タッチの極み」にも書かれていますが、タッチ技術の極みは気功術の世界に到達します。ですから、この信じがたい効果も下澤先生にとってはなるべくしてなった結果であり、不思議でも何でもない科学的な事実なのです。

 ですが、ここまでの領域に行ってしまうと、いくら先生が理路整然と説明をしても、聞いている方は不思議が膨らむばかりになってしまって、分かるだの分からないだの迷路に入ってしまうんですよね。いっその事「これは私が神様から頂いた特別な力なのです! 私は神の手の持ち主なのです!」と言った方が「おー、すごいお人だ!」と簡単に納得してしまうんですから困ったものです。