〈バキバキを習うのには意味があるのです〉

 

では、何故ほとんど使うことのない矯正術を初めに習うのか、これにもしっかり意味があります。


 整体を習い始めの時は、誰しもが何をすれば良いのかも解らない状態から始まります。

 ましてや体を診る・感じる事も出来る訳がない、いわば武器を全く持っていない状態です。

 もちろん、私もそうでした。


 しかもシモザワ整体の施術方法には、施術のマニュアルのようなモノは存在しません。

 相手の身体に合わせた施術をマニュアル化しようとすると、パターンの種類が多くなりすぎてしまい、現実的に不可能な数字になるでしょう。


 そこで、まず一般的な整体術や矯正術を習い、そこから体を感じ・診ていく力を養っていくのです。

 


 矯正術を行えるようにするためには、必ず筋肉をほぐさなければなりません。

 ですがやたらめったら押しても、硬直した筋肉は緩んでくれません。

 どういうタッチで、どうすれば筋肉が緩んでいくのかは人によって変わりますから、矯正術を施せる最低限のラインをクリア出来ないと行う事は出来ません。


体を触って、矯正術を行える状態になるまで筋肉をほぐしながら、同時に体が今、どういった状態なのか、どの関節がどのようにずれて問題を起こし、痛みを出しているのかを、最低限の範囲でも解らなければ、矯正術は成功しません。


 矯正術を行う時も、ただ技の形をマネするのではなく、この技の形で体の関節はどういう動きをし、どの方向に力を加えれば関節がどう動くかを、常に頭の中でイメージして行います。


 一つの関節だけで見るとその動きは単純ですが、その関節周辺や体全体で見るととても複雑な動きになり、身体で発生する力も6方向(上・下・左・右・前・後)と回転の3次元的になります。

 この6方向と回転の3次元のイメージを完璧でないにしても、最低限のレベルは作りながら、問題が起きている箇所を操作していくのです。

 

 この、ほぐしから矯正術までの一連のプロセスが、初めて身に付ける整体師としての武器になるのです。


このような練習をしていくことで、整体やカイロの根本になる“関節が固定もしくは可動範囲の減少により問題を起こす”という考えを学んでいきます。

この力学的な発想を、練習を通して理解していき、その上で「このルールに当てはまらない事がある」のを、筋肉を緩めたり、関節が動くようにするだけでは解決しない問題がある事を、身をもって知っていく事で、それを解決するシモザワ整体の技術の理解が可能になっていくのです。


これが出来なくて、ただ「バキバキするのはリスクが高いから」と、ソフトタッチで体を触っているだけでは、改善出来る体の問題も、たかが知れている、といってよいでしょう。

 

 矯正術を使わなくても、意図的に関節や筋肉を元の位置に戻す事は、これらの習得なくしてはあり得ません。

 なぜなら、シモザワ整体独自の技術では、6方向と回転の3次元のイメージは、さらに複雑な力の方向を感知する力と、どんな小さな異常や変異も見落とさない観察力をもって、より正確なイメージを作る事が要求され、それをもってさらに複雑な力学的理論を理解し、施術をする事になるからです。


矯正術の練習と習得がベースになり、初めてシモザワ整体独自の技術へと発展していけるのです。